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平成10年8月31日月曜日

●道東へ

 「ご乗車お疲れさまでした。まもなく終点釧路、降り口は・・・。」
 アナウンスで目を覚ましました。アイマスクを外して、外を見ると大楽毛(おたのしけ)を通過していきます。昨日のビールのせいでぐっすり眠っていたようです。今まで何回か夜行列車に乗っていますが、座席・寝台を含めてこんなによく眠れたのは初めてだったと思います。ぼーっとしている内に新富士を通過していきました。次は釧路では…と思って、あわてて荷物をまとめました。そして、「おおぞら13号」は定刻5:50に釧路駅に到着しました。う~ん、朝が早い・・・。
 榎くんとともに釧路駅ホームに降りると、寝台に乗っていた古村くんも降りてきていました。彼は、「釧網線が止まっていたら「スーパーおおぞら2号」で折り返します」と言っていましたが、動いているようです。でも花咲線は遅れているようで、快速「はなさき」は運休とのこと。改札で下車印を押してもらってから、3人で網走行きに乗ります。榎くんと私は釧路に用事がありましたが、いかんせんまだ朝が早いので、すこし時間つぶしをすることにしたのです。

●湿原

 網走行きはキハ56-213とキハ56-214の2輌編成。私たちの乗ったのは213のほうでした。原色のキハ58系列に乗ると何となく外観や内装のチェックをしてしまうのは、会誌編纂のせい!? そのまま網走まで行くという古村くんを残して、我々は釧路湿原駅で降りました。降りたのは2人だけでした。
 6:45の釧路行きで帰ってもおもしろくないので、その次の7:36の列車で帰ることにして、とりあえず展望台の方へ行ってみます。たしか3年前にサークルの先輩の浅井氏がこのへんで釧網線の撮影をしていたハズなので、そのポイントを探しながら。
 しばらく坂や階段を上がってたどり着いたのは細岡展望台。しかし、ここからでは線路が見えません。それに夜を徹して走ってきたと思われるドライブ連中が数人いたので、別の場所を探してみることにします。そのまま山を上っていくと…、しかしいつまでたってもどこにたどり着けるのかわかりません。しばらくいくと、汽笛が聞こえました。すこし開けたところで下を見ると、

「あれ、列車ちゃう?」

…と榎くんが言うので見てみましたが、私には木々しか見えません。
「どこ?」
「あのへん。銀色の箱が動いてたから、たぶんキハ54が…。」
「・・・わからん。」
いずれにせよ、ここからでは撮影は無理そうです。そこから先の方を見ると、はるか向こうにも展望台のようなものが見えます。

あそこまで登るん~!?

朝食も摂らずに歩いている2人には無理な話です。そのまま引き返すことにしました。前だけを見て歩いている時には、どれくらい歩いたかという感覚がいいかげんですが、いざ戻ろうとすると

「え~、こんなに歩いてたん!?」

・・・なんてこと、ありませんか? 今の我々はまさにそのような状況です。とりあえず、細岡展望台まで戻ってきました。先ほどの車連中はいなくなっていましたので、ゆっくりと湿原を展望することにします。
 いやはや…、
広い

としかいいようがありません。榎くんは数日前にも湿原に来たそうですが、その時は霧で何も見えなかったそうです。今日は曇りで所々日が差していて、これからの斗争の勝利を予感させます。
「西向きやから、夕日がきれいやろな…。」
「でも、誰と来る?」
そんな会話をしながら、しばらく景色に見とれていました。
「下りよか」
どちらともなくそう言い出して、山(丘?)を下りていくことにします。しかし、来た道をそのまま戻っても時間がありそうだったので、別の道を使うことにしました。途中、休憩できるようなところがあって、そこに湿原を走る列車の写真なんかも飾られていました。しかし、

「どこから撮ったんや!?」

というような写真です。車体は見えども線路は見えず。そんな写真は私には撮れません。しばらく休んでから、また下りていきます。出てきたところは釧路湿原駅と細岡駅の間にある踏切。
「そういえばノロッコ号見てないなぁ。」
「時間も過ぎてるし、ウヤ(運休)か?」
とかいいながら、線路を歩いていくことにします。すると突然踏切が鳴り出しました。

「ノロッコ!」

このままでは轢かれてしまうので、あわてて踏切まで戻ります。ほどなく、緑色の「くしろ湿原ノロッコ2号」が走り去って行きました。それにしても速い。

「どこがノロッコ(ノロいトロッコ?)やねん。」

…なんてツッコミを入れながら、再び線路を歩いて湿原駅を目指します。歩いていると突然、

足元を何かがサッと

動いた気がして、びっくりして立ち止まると、動いてたものが少し先で止まりました。
「リス?」
手(前足)を口に当てて立ち止まっています。写真を撮ろうかとも思いましたが、構えてる内に逃げてしまいそうなので、見るだけにしておきました。リスなんて、目の前で見たのは初めてです。でも突然人の足元から走り出すのは止めてね。心臓に悪い…。
 湿原駅からキハ54-516の単行で釧路駅に戻ります。車内は制服姿の高校生もちらほらいましたが、まだまだ空席があります。ラッシュアワーなのにこの程度?とか言っていると、次の遠矢駅から

高校生がい~っぱい

乗ってきて、大混雑になってしまいました。「おぉ~、ラッシュや~!」しかし、彼らは次の東釧路駅で降りていきました。東釧路は駅前にダイエーもあって、ちょっとした街なのかもしれません…無人駅らしいですけど。

●傘!

 釧路駅で降りてコインロッカーに荷物を預け、次に朝食を所望しました。駅構内の喫茶店のモーニングにしました。食べ終わって外に出てみると、ちょっと小雨がパラついています。念のため、傘を買っておこうということになりました。

傘は「ラベンダーエクスプレス」に忘れた

…なんて言っても仕方が無いので、そのへんで安いビニール傘でも買うことにします。キヨスクには…1000円…そんな傘は恐れ多くて使えません。となりのみやげ物屋では…700円…もう少し安いのないかな…。ここで、駅前でコンビニでも探してそこで買うことにしました。ウロウロと探しまわりましたが、駅前をグルグル回ってみても、コンビニらしき店舗はどこにもありません。代わりに、本屋がいっぱい。コンビニは1軒も見当たらないのに書店は、新書・古書を合わせて10軒くらいありました。そういえば駅構内にも古本屋があったっけ…。気がつくと幣舞橋の手前まで来ていました。とりあえず、引き返します。
 跨線橋を渡って駅の裏にも行ってみましたが、やはり見つかりません。榎くんが「そういえば、大山さん(サークル2回生の女の子)が釧路駅前には何も無いって言ってた。」とか言ってます。本当に

本屋ばっかりでコンビニが無い!

 駅に戻って考え直します。みやげ物屋で700円の傘にするか、あるいはこれから行く途中でコンビニに寄るか…。でも、コンビニが見つかる前に雨がひどくなったら…。キヨスクで地図を見ながら、駅前を調べてみます。地図はどこだ…。ふと榎くん

「コンビニ行ったら地図あるよな…。」

…いや、だから、そこへ行くために地図を…。しかし、普通の地図にコンビニの場所なんて書いてないですね。そのとき、棚に置かれていた雑誌が目に入りました。アルファベットで書かれた誌名を追うと、D-A-B-E-S-S-A...

月刊「だべっさ」

アルファベットの横にちゃんと平仮名書きしてあるのがいいですね。そのタイトルに魅かれるものがありましたが、700円という価格に躊躇してしまいました。この雑誌は「釧路の街の情報誌」だそうで、釧路市内の一部の書店等でしか取り扱っていないそうです。てっきり「関西WALKER」みたいな情報誌だと思ったんですが、市広報を雑誌化したような、わりと硬めの雑誌でした。しかし、その裏表紙見返しにセイコーマートの広告を発見! 場所は…?末広町6丁目??どこや、それ。地図を見て確認します。駅から幣舞橋のほうへ向かって少し行ったところのようです。「そこで傘買って、十字街からバスで行こう。」ということになり、釧路駅前の道をから歩きだします。この道は「北大通」一瞬、「ほくだいどおり」読んでしまって、北大まで続いているの?なんて思ってしまいますが、「きたおおどおり」。歩きながら、くしろバスのバス停がいくつもあることに気がつきます。

同じ名前のバス停をいくつも作るな!

京都なら、四条河原町のバス停がいくつにも分かれている感覚ですが、どのバス停にどれが着くのか、わかってなかったら大変そうです。各バス停には別名も付けられているようです。
 しばらく歩くと、北大通に面して100円ショップを発見。入ってみると、やはりビニール傘も100円で売られていました。

これより安く売られている傘は無い!

ということで、2人とも購入。榎くんは白色透明、私は水色透明のを買いました。
 傘を買ってもバスまで少し時間があったので、郵便局へ行ってお金を下ろしておくことにします。榎くんが国土地理院25,000分の1を持っていたので、それを頼りに行きました…が、

局が無くなっている…

こういう情報に詳しい某木津国皇太子(しんちゃん)に電話をしようかとも思いましたが、国際電話(笑)は高そうなので、近くに移転してはいないか探すことにしました。すぐに、道路沿いに地図(附近の店舗などが描かれているタイプ)を見つけて、それで調べると…「フィッシャーマンズワーフMOO内局」なるものがあるようです。フィッシャーマンズワーフMOOとは、長距離バスのターミナルにもなっている、大きな建物です。今いる所の本当に目の前でしたので、早速行きました。
 MOO内で局を探します。某サークル郵政部会の影響(注:私は郵政部会員ではない。)で、街中で郵便局を見つけるというへんな力(?)ができてしまって、MOOでもあっさりと見つけてしまいました。つつがなく出金を終えて、バス停に向かいました。
 途中で「大阪緑風観光」という旅行社がありました。(…大阪では聞いたことがないですけど。…ひょっとして私が知らないだけかもしれません。) その店舗のドアに

2008年オリンピックを大阪に!

と書かれたステッカが貼ってありました。まさか釧路まで来てこのステッカを見ようとは思ってもいませんでした。

●春採斗争!!!

 くしろバスに乗って、春採湖を目指します。別に湖が目的なわけではありません。湖に沿って走っている「太平洋石炭販売輸送 専用線」が今回の斗争の舞台です。思えば3年前、釧路ユースホステルに泊まる日に、榎くん(以下、凹くん)に連れられるままにやってきたこの春採で、その姿に魅せられてしまったのでした。今回も釧路YHに泊まるつもりでいたんですが、なんと「改装中」とかで、残念ながら泊まれませんでした。ちなみにこのYHから専用線までは歩いてすぐ行けます。ぜひ春採YHに改称すべきだ…。
 バスを降りて、湖に向かいました。すこし遠いところで降りてしまいましたが、すぐに目的地にたどり着きました。「いるいる~。」ディーゼル機関車と20輌近いセキ(石炭運搬用貨車)がつながっています。「あれ、こっちには繋がっていない??」この路線は、ここ(春採:はるとり)から港(知人:しれと)まで石炭を運ぶという、日本で唯一の運炭鉄道です。(他はすでにベルトコンベヤーやトラック輸送に変えられてしまいました。)行って帰って来るだけの鉄道で、貨車の前後を機関車で挟む、いわゆる「プッシュプル」で運転されています。片方の機関車はロッド式、もう片方は輸出向けの電気式という、どちらも

マニア垂涎

の、機関車です。(え、私!?マニアじゃないです~。)
 しかし、動く気配があまり…。ひょっとしてウヤ?3年前に来たときは休む間もなく動いていたので、今回もきっと…という期待は甘かったのでしょうか。…なんて考えていると、突然踏切が鳴り出しました。動く!!電気式ディーゼル機関車DE601がゆっくりと踏切を渡って行きました。おぉ、走ってる~!早速カメラを取り出しますが、雨も降っていて、ちょっと露出が出ません。しばらく、動くのを見ていました。始業点検のようで、あっち行ったりこっち行ったりしています。「ちょうどいい時間に来てんなぁ。」凹くんと喜び合います。しばらく入れ替えを見ていましたが、そろそろ動きそうなので、少し動いて撮影場所を探すことにしました…といっても3年前に来ているので、あらかた検討はついています。湖沿いの遊歩道を歩いて、線路を渡る歩道橋まで行きます。でも、この遊歩道も歩道橋も3年前には完成していませんでした。時間は流れるものなんですね。
 だんだん雨が強くなってきます。しばらくして煙を上げながら列車がやってきました。しかし、この雨ですのでカメラを出す気にもならず、そのまま見送ります。同じ構図の写真は前回にも撮ってあることですし。しばらくそこにいて、帰って来る列車も見送りました。次に場所を動くことにしました。線路に沿いに歩きます。しばらく行くと線路は湖を離れて海岸沿いを走るので、海岸の方へ下りて歩いて行きます。それにしても太平洋が荒れています。やはり台風4号の影響でしょうか。テトラポットで破砕された波が時折高く上がってきて、ちょっと恐怖。線路の下がすぐテトラポットという所になって、さすがに上を歩くことにしました。たぶん、前回は下を歩いたんでしょうが、今日そんなところを歩くと

生きて帰れるかどうかわからん

でしょうし。
 しばらく歩いていても、列車が来そうな気配がありません。前回は歩いていると汽笛が聞こえてきて、すぐにカメラを構えていたんですが…。片道15分、積み下ろしにそれぞれ15分として、1時間毎に来ていたと思うのですが、今日は少しのんびりと動いているようです。しかし、いったん止みかけた雨がまた強くなってきました。附近で昼食を摂りながら雨宿り…と思ったのですが、このあたりには入れそうな店がありません。ホームセンターではねぇ…。仕方ないのでバスで釧路駅まで戻ることにしました。
 釧路駅の牛丼とラーメンの店で凹くんは豚丼、私は牛丼を食べながら、これからの予定を立てます。地図を見つつ、知人の方へ行くことにしました。再びバスで戻ります。そして線路沿いに知人側へ向かいます。だんだんと線路と同じ高さでは歩けなくなってくるので、踏切を渡って高台を歩いて行きます。しばらくして汽笛が聞こえてました。列車がやってくるようです。灯台の裏手から知人駅(?)が見えることはわかっていましたので、そこから見ることにします。近づくと、パトカーが止まっていて、警官が2人ほど立っていました。

我々の斗争に対する公権力の圧力か!?

とか思いましたが、そんなことはなく、気がつくとどこかに行ってしまっていたようでした。
 ここ、知人駅では石炭が下ろされます。長い列車は走りながら2つに分割され、2手に分かれて入っていきます。そして、セキから石炭が放出される様子は圧巻です。下ろされた(…というか、落とされた)石炭をブルドーザがならしていきます。

見に来て良かった!!

みなさんも、ぜひ見にいらっしゃるべきです。
 列車が帰った後、我々もいったん春採駅へ戻ることにします。春採に着くまで列車にすれ違うことはありませんでした。やはり前回よりも本数は少ないようです。それでも動いていただけでもありがたかったのですけど。
 列車は春採駅に止まっていました。雨はまだ降り続いています。その昔、この路線では旅客営業も行われていたそうで、その時の駅名が春採駅だったようです。そして、その名残でくしろバスには「春採駅前」というバス停があります。帰りはここからバスで帰ることにしました。バスまで時間があったので、「ミスタードーナツ春採公園通店」で休憩することにします。春採駅前にはミスドやTSUTAYAがあって、なんだか関西にいる気分…。
 そして、3年前から念願の「春採駅前バス停の利用」を実行して、我々は釧路駅に帰ってきました。

●飯~!!

 駅に着いた我々は、今晩の宿を探さなければなりませんでした。電話帳を開いて、安そうなビジネスホテルを探しました。駅の裏側で少し遠そうなところでしたが、「大浴場」というのに魅かれて、決定しました。駅の裏側へは跨線橋…を渡らずとも、地下道で行けることがわかりました。抜けて、少し歩くと…なんと、

セイコーマートが!

朝、あれだけ探しても見当たらなかったコンビニがこんなに近くにあるとは。敗北感が2人を襲います。
 今晩の宿はかなり遠かったです。チェックインを済ませて荷物を置いてから、食事に出かけることにしました。ちょっと荷物を整理している間にテレビをつけると…

札幌市内晴れとるやんけ!

こっちは雨なのに…。
 傘を持って、何か食べれそうなところを探します。宿から駅まで…駅の裏側になるんですが、はっきりいって

な~んにもない!!

所々に本屋や飲み屋はありますが。飲み屋に入るほど経済的余裕もありません。やっと見つけた1軒に入ると、

「今、主人出かけてるんですよ。」

が~ん! このままでは夕食がコンビニ弁当になってしまいます。それだけは避けたかったので、いろいろ探しまわりますが、それらしい店が見当たりません。「食堂」とだけ書かれた店が2~3軒ありましたが、値段や商品がわからない店に入るのはちょっと抵抗があります。さんざん探しまわったあげく、ふたたび線路をくぐって駅の南側に出ることにしました。
 こちらのほうが街が賑やかなので…と期待していました…が、

やっぱり何も無い!

こまりました。遠くにケンタッキーが見えますが。それでも探しまわった甲斐があって、やっと1軒の店を見つけました。中華料理がメインの定食屋のようです。客はいませんでしたが、主人がいろいろ作っています。しばらくして、若い店員が入ってきました。出前に出ていたようです…とすぐにまた出前に出て行きました。我々が頼んで待っているうちにも電話が鳴って、また出前の注文のようです。価格も手頃でなかなかいける店でした。北大通の1筋東の道を南の方へ…。店名失念。
 テレビでは天気予報をやっています。釧路の明日は…最低気温15度、最高気温20度。大阪は…最低気温25度!?そんな暑いところに帰りたくないよぉ~。
 食べ終わってまた遠い道を宿まで帰りました。そして大浴場に入ってきました。いやぁ、風呂に入れるというのは素晴らしいことです。ゆっくりと体を休めたあと、部屋に戻りました。部屋でもPHSが届いたので、メールを見たり、WebBBSに書きこんだりしました。それにしても、なんで、毎日々々30通近いメールが届くんだろう…。私は旅行中だというのに。
 そんなメールに返事をしたりしてから、ベッドに横になって、眠りにつきました。

…つづく。


列車名乗車駅発車時刻到着時刻下車駅乗車距離
特急「おおぞら13号」(札幌)(23:00)5:50釧路348.5km
4726D釧路6:026:21釧路湿原17.6km
4723D釧路湿原7:367:57釧路17.6km
くしろバス十字街  湖陵高校 
くしろバス千代の浦  釧路駅前 
くしろバス釧路駅前  千代の浦 
くしろバス春採駅前  釧路駅前 

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